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2017.06.28 Wed

下地康子さん工房見学レポート

いよいよ開催目前となりました、
「下地康子×平岩愛子」二人展。
SMLでは初となる、女性作家による二人展となります。
下地さんは「染織」、平岩さんは「ガラス」という、全く異なるジャンルでご活躍されているお二人に共通するポイントは「沖縄」です。
現在は、それぞれ東京から2時間ほどの場所に工房を構えていらっしゃるお二人ですが、
下地さんは、沖縄首里に生まれ、高校・大学と沖縄で染織の技術を学び、
平岩さんは、沖縄で「再生ガラス」の技術を修行されました。
詳細プロフィールは、作家HPをご覧ください。
下地康子さん(http://urizun.org/
平岩愛子さん(http://www.rainbowleaf.jp/

(左)下地康子さん(右)平岩愛子さん

(左)下地康子さん(右)平岩愛子さん


今回、制作の背景を学ぶべく、お二人の工房を見学させていただきましたので、
ブログにてレポートさせていただきます!
まずは下地さんの工房、「織工房URIZUN」から。
東京から車で1時間半ほどの神奈川県の郊外に、
ご自宅とは別に、工房を構えていらっしゃる下地さん。
工房は一見すると、若い夫婦が暮らしていそうな雰囲気の、小ぶりできれいな一軒家ですが、
ガスや食器類など、制作に直接関係しないライフラインや雑貨類は極力排除し、スペースも最低限にしぼられた、
制作の為だけに特化したとてもストイックな空間となっていました。
「ガスを引いてご飯を作れるようになっちゃうと、ここでずっと制作し続けしちゃうかもしれないから」
と、笑顔でお話される下地さん。
制作のお仕事が本当に好きで好きでしょうがないといった、喜びに満ちた表情で語られていたのが印象的でした。
中に入ると、まずは6帖程のお部屋を埋め尽くさんばかりの、
大きな織り機が2台、どどんとお出迎え。
ろくろ式、天秤式という、それぞれに特徴がある織機2台を、
作品によって使い分けていらっしゃるそうです。(写真はろくろ式のもの)
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壁には、以前制作された、二重折りの作品のための設計図が。
方眼に綿密に模様が配置されていて、下部には細かな数字がたくさん書き込まれています。
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手仕事の作品は、素朴ないびつさが魅力のひとつとなるものも多いですが、
下地さんの制作の裏に隠された、緻密な設計のギャップに驚かされました。
織機には、現在製作中の涼しげなストールが。
よく見ると市松模様になっています。
エレクトーンの足鍵盤のようなパーツを踏み込んで、
織る模様を指示して織り進めていくとのこと。
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踏み込み方で織り機に指示が伝わり、
縦糸の持ち上がり方が変わります。
(模様のない平織りの時も、複雑な踏み込み方だったのには驚きました!)
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持ち上がった縦糸の間に横糸を通し、どんどん織り進められていきます。
制作のペースについてお伺いすると、
1日に進められる長さはおよそ90cmほどとのこと。
複雑なものになると1日で20cmほどしか進められないものもあるそう。
織りの作業だけでも、膨大な時間がかかるということをあらためて実感したのですが、
下地さんの制作は、その前の、糸を「染める」ところからはじまります。
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こちらは沢山の糸が保管されているお部屋です。
下地さん自身で草木染めをされており、
染め上げた糸は、
色味だけでなく綿・麻・シルクなど素材も様々。
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色ごとに分けられた引き出し。
下地さんは、実際の色を手に取ってイメージを膨らませることが多いそう。
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色や素材の違いだけでなく、糸の撚り(より)の強さでも大きく表情や手触りが異なる事を教わりました。
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下地さんの作品です。
こちらは藍染めの中でも「琉球藍」で染めた糸を用いており、落ち着いた色味ながら、鮮やかな発色が特徴的です。
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沖縄のおばあが紡いだ貴重な苧麻(ちょま)の糸を使った作品も見せていただきました。
伝統的な染織の技法を大切に守りながらも
あえて、素材や撚糸の強さの違う糸を混ぜ込んで織り上げるという下地さんの作品は、
素材との対話を楽しんでいらっしゃるような、生き生きとした表情がとても魅力的です。
手仕事の作品に対して「1点モノ」と呼ぶのは簡単ですが、
今回、下地さんの工房を見学させていただき、「染織」の仕事がもつ、
設計する事、選択することの多さにとても驚かされました。
さまざまな組み合せを経て生み出される一つ一つの作品は、どれも本当にかけがえがなく、
是非、展示ではその仕事の奥深さをご覧になっていただきたいと思います。
次回は平岩愛子さんの工房レポートをお送りします!
どうぞお楽しみに!
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    「下地康子×平岩愛子」 二人展

2017年7月1日(土)〜7月11日(火)
OPEN 12:00-20:00
土日祝 11:00-

    作家在廊日

7月1日(土)、2日(日)、8日(土)

    オープニングパーティー

7月1日(土) 17:00-
どなたでもご参加頂けます。